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小野次郎さん連続インタビュー

「主権者学」(2)

小野次郎さん

今回は〈日本政治の骨格=政治家と政党〉がテーマで


国会質問と政府答弁
議員立法
日常的政治活動
政治資金パーティー
政治資金収支報告、のお話をうかがいました。

そしておまけとして

小野さんの子ども時代のお話も、うかがいました。

 注:小野さんは、ワタシら向けに内容をかみ砕いて、分かりやすく説明してくださってます。

 実際の「主権者学 講座」に出たらば、もっと詳しく知ることができるでしょう。

国会答弁と政府答弁

国会質問と政府答弁、のお話

 質問と答弁は、本会議でやる場合と、委員会でやる場合があるんですよ。
 本会議の場合は、作文のように読み上げて質問する。

 それが終わったら、大臣や総理大臣が真ん中へ出てきて、また、原稿が何枚もあるものを作文のようにまとめて答弁する。

 

 そういう形式でね、原稿を何枚も、10分15分とかけて読み上げるんです。

 そうなると最初の質問が分からなくなって、答えられないでしょ。ですから事前に、質問する方はこういう内容を訊ねますよと伝えておくんです。

 僕はだから国会議員を10年やったけど、不思議だなと思ったの。何で質問者が、本会議場で、同僚議員の方を向いて質問するんだろうなと。

 本来なら、オーケストラの指揮者じゃないけど、質問者が、大臣とかが並んでいる方に向かって問うべきでしょ。

 5つの質問をしたのに政府側が4つしか答えてないと、答弁もれ! と叫んで議員たちが議場を駆け上がっていったりするんですよね。

 演説に力が入って何番目かの答弁を落としたりすると、政府の方のミス、ってことになるんですよ。

 ほんと、もともとあれは演説のし合い。そういう形式でつくってしまっている。

 やっぱり面白いのは委員会の方です。

 委員会の方は、一問一答になってますから、だから質問の項目だけは政府側に伝えておくけれど、どういう表現でそれを訊くかは、委員に任されている。


 やっぱりね、エビデンスを扱うとか、ディベート、そういう経験がない人が国会議員になってると、委員会ではどうも、詰めが甘くなる。言い合いをしているだけになっちゃう。


 政府側は、予算もデータもたくさん持ってるしスタッフもたくさんいて、だから質問者の委員よりも、とうぜん立派なことを、立派なように装って言えるんです。


 その立派なことをね、言わせたところで質問者は、あなたはこの計画をバラ色だとおっしゃいましたよね? いいましたよね? じゃあ…、といって、机の下から別の、黒い何かを出して、あなたにはこれが、バラ色に見えるんですか?と詰める。
 そうなるとその話は、質問者のほうが優勢になるんですよ。たった一件でも、そういう詰めの話があると質問者の方が優勢になる。

 というような、テクニックというかロジックというか、そういうものを委員は身に付けないと、言った言わないとか、白か黒か、言い合ってるだけだと、どっちが声が大きいかということになるし、入れ代わり立ち代わり質問者が出てきて、同じようにそれは間違いだとくり返すだけで、それで終わり、ってなっちゃうんですよ。


 だから質問する立場の国会議員の方も、勉強して努力して、身に付けないと、力自慢だけでは、政府側を倒すことはできないということですね。

国会議事堂の本会議場
議員立法

議員立法、のお話

 

 法律の中には、内閣が出す各法と、議員が出す議員立法とがあるんです。
 まあほとんどは、数からいったら9割は、内閣が出す各法、内閣提出法案ですけど。なかには、議員立法で法律になるのもあります。


 議員立法で法律になるのは、これは支持者や有権者の方から、こういう法律をつくってくれと出てきて、それを纏めて、衆議院なら衆議院法制局の、参議院なら参議院法制局の、力を借りて、そして国会に出していく。一定の人数があれば出せるんです。


 もちろん法律にするためには、最終的に過半数の議員の、賛成がなければいけませんけれど。

 

 小野さんが、関わられた議員立法はありますか?

こども嵐土のワタシら
小野次郎さん
小野次郎さん

 

 僕がやったので法律になったのは一本ありますよ。

 

 それは海外で、無差別殺人とかテロの被害に遭った人に、国内で、無差別殺人やテロの被害にあった人と同じように、お見舞金とか弔意金とかを、つくってくれと、海外で被害にあった方のご遺族から、要望が出たんですよ。

 

 それでね、4年間くらいかけて、せっせせっせと法律の形にして、国会に3回も4回も出していたら、そのうちに賛同者が増えてきた。それでつくりましょう、ということになったんで、ようやくこの前、全会一致で法律が、その制度が、始まることになりましたけどね。


 あと、つくりかけているやつ、国会へは提出したんだけど、まだ可決成立していないものが14本。
 たぶん国会議員の中で、一番多かったんじゃないかな。

 おお、すごい数ですね、14本。

 

 一本つくるにも、長い時間がかかります。
 関係者の方たちとの、意見調整もあるし、他の党の方たちとの意見調整もあるし、法制局とも、やり取りしなくてはいけないし。それに、これが法律になったとして、実施できるかどうかの意見も、政府の方たちから聴

かなきゃなりませんから。
 あれやこれやで時間もからだも取られますよね。

日常的政治活動

日常的政治活動、のお話

 あのね、分かりやすく言うとね、国会の質問に立って、政府を、やり込められるかどうかで、その人が選挙に受かるかどうかじゃ、ないじゃないですか。

 または議員立法を出せるかどうかで、その人が、選挙に受かるかどうかじゃないじゃないですか。


 なんで選挙に受かるかっていえば、支持者のところに、よく顔を出すかどうかでしょう。
 地元のお祭りとか、お餅つきとか。つまりは日常的政治活動ですよね。

 

 だから国会における活動が、形式的になってしまってるんじゃないですかって、僕は言うの。


 政治家個人の力を鍛えて、選挙を強くするとかは、やろうと思えばできるんだろうけどね。普段の、日常の活動ではなくて。

こども嵐土のワタシら

 日常的な政治活動は、お祭りのほかは、ないんですか?


 ありますよ。お葬式とか(笑)。

 あと、なんかのフェスティバルとか。
 それはでも大事じゃないですか、議員立法しない人たちにとっては。しない人たちが、大半だし、国会で、質問しない人たちが大半なんだから。

 


 だから国会質問にも出てこない人、議員立法もしない人たちが何してるかって言ったら、この日常的政治活動だけしてるわけですよ。餅つきとお祭りと、お葬式と結婚式と、フェスティバルのオープニングと…

 日程出したら、毎日びっちりになってますよ、それらで。

 まあそれらをお断りして、遊びに行っちゃったらもっと悪いですけどね。
 でも国会質問とか、議員立法とかをやっていると、そういう日常的政治活動が、できないじゃないですか。ねえ。

驚くこども嵐土のワタシら

 う~ん、ちょっとびっくりしました。

 現実はそうなってるんですかあ。

 支持者のみなさんは、そういうことで良いのでしょうか。

 だって議員さんのお給料、議員歳費は、みなさんの税金から出ているのでしょ。大きな額でしょ。

 ちゃんと仕事をしてくれる候補者に、投票して、当選してもらわないと。ねえ、日本の有権者のみなさん。

政治資金パーティー

政治資金パーティー、のお話

 政治資金パーティーは、やれる人と、やれない人がいるんです。まず、人が集まらなきゃしょうがないですから。

 

 パーティーやって採算を黒字にするためには、けっこう大変な努力がいるんですよ。

 確かに黒字にすれば、政治資金が集まるわけですよ、でも、その準備のために政治家も事務所も、その期間、エネルギーをすごく使うじゃないですか。

 

 人によっては政治資金パーティーばっかりやってる人もいますけどね。 自民党にだって、野党にだって。

 

 政治資金パーティーをくり返して、さっきいった日常的政治活動をずっとやって、ほぼそれで終わってるって方が、けっこう多いんじゃないですか。

 おおぉ。有権者のみなさん、見きわめて、くださいねえ。

政治資金収支報告

政治資金収支報告

 よく新聞やテレビで、政治資金収支報告のことがニュースになるでしょう。収支報告に、記載がないってことが。つまり、政治資金規正法違反のことが。

 これはね、政治資金収支報告の形が、まあ、ザルみたいになってるからなんですよ。穴の空いたザルみたいに。


 一年間で、最後に帳尻が合えばいいみたいになってるから、だから、不正があったぞと報告された人は、とりあえず修正報告して、それで終わりにする。

 あんまり使い良い法律じゃないんだよね。きちっとしていない。国税庁がやるみたいにきちっとすると、政治活動ができなくなると政治家が言うんで、それでね、ザルみたいにして、最後の帳尻を合わせるようになってるんです。

 よって、帳尻が合わなかった政治家が、政治資金規正法違反でニュースになる。

 やっぱりねえ、一年を通じて最後に辻褄が合えばいいってことにしてないで、きちんきちんと収支を、月決めとか日決めで、報告すべきだと僕は思いますよ。

 ニュースで良くあるパターンだけど、ガソリンを、地球を何十周も回って使ってるような事務所があったりするでしょ。なんでそうなるかって言ったら、違う用途にお金を使ってるんですよ。

 ところが一年経ったところで、それって政治資金収支報告書に載せられるもんじゃないよね、ってなって、この300万円、どうすんの? 穴が空いちゃってるよ、となる。

 

 すると、どっかからガソリン券を持ってきて、2月に20万、4月に20万、と貼っていって、それで一年やってくと、これで240万落とせるよね、っていう、まあそういう、荒っぽいことをやってるんですよ、多くの議員が。

 昔キャミソールを買ったっていう話があったんですよ。まさか政治資金で、キャミソールなんか買わないですよ。今からほら、政治資金でキャミソール買って来いって。まさかねえ。
 つまりは、1万8000円穴が空いているとしましょう、ね、何に使ったかは別にして。すると、何かないかと捜して、丁度1万8000円の領収書が、ぴたっとはまった。それには、キャミソールと書いてあった、ということなんですよ。
 多くがそうやって一年まとめて作文している。

 

 小野事務所なんかは、730円のタクシー券とかも書いてるんですよ、きちんと。でもそれだと立法事務費の50万円も、なかなか遣えませんよ。

 そういうふうに実際の家計簿みたいにつける人は少なくてね。結局面倒臭いから、大きなとこへぶちこんで終わりにするんですね。

 

 だからもっと月々のフローで分かるようにして、事務手続きがかからないようにしないとねえ。

 だって主婦のみなさんだって、スーパーのレシートとか毎日貼って、一年間、なんて貼り切れないでしょう。

 

 家計簿なんかは、月ごとに締めるじゃないですか。
 政治資金も月締めにするのがいいんです。

 それならば中身がきちっとわかると思うんですよね、僕は。

小野次郎さん

​ はい、それはとても正しいお考えだと、ワタシらにも思えます。

​ はい、それはとても正しいお考えだと、ワタシらにも思えます。

こども嵐土のワタシら
小野さんの子ども時代

小野さんの子ども時代、のお話(おまけ)

 今回は「主権者学」の講義に出る代わりに、小野さんに直に、「主権者学」の中から幾つかメニューを選んでもらって、お話していただきました。

 ありがとうございました。

 ワタシらには貴重な体験になりました。

 それで、最後に、ぜひ小野さんに、うかがってみたいことがあるんです。小野さんはむかし、どんなお子さんだったのですか?

 

 

 え、ぼくの子どもの頃? なんでそんなことを? 

 

 お話してもらって、小野さんのお人柄にもふれたもので、どんなお子さんだったのかな、って興味を持ちました。

 

 ほう。うーん、そうだな。きかない子でしたね。きかんぼうでした。

 だけど、いじめた記憶もないし、いじめられたこともないな。マイペースでしたよ。

 あぁ、そうだ、小学校1年生の頃かな、ちょうどシュバイツァー博士が、ノーベル平和賞をもらったんです。アフリカで医療をやってて。
 それで、僕の母親が、なんだかその、医者になって、ノーベル平和賞もらえってことを、盛んに言ってまして。当時ね。

 僕はそういえば、よく、お母さん方の集まりで、「どうやったら勉強のできるいい子になりますか? どうやったら偉くなれますか?」なんて訊かれることがあるんですよ。
 そんなときは僕は、とにかく目いっぱい膨らましてでも、高い目標を、子どもたちには与えてあげてくださいって言うんです。

 

 例えば、「オリンピックで金メダルを取れ」って言ってあげると、初めてそこで、国体でメダルを取れるかどうかになる。最初から勝っても負けてもいいよ、とか言ってたら、勝てないで終わっちゃったりする。
 もしもスポーツで成果を出してほしいと思ったら、「金メダル目指して」とか「プロ野球の誰々みたいになって」とか言わないとね、やっぱり。

 そういう意味では、ノーベル平和賞を目指せと言われた子どもが、僕のことだけどそれは、一つくらいいい大学に入ったって、難しい公務員試験に受かったって、総理秘書官になって衆議員、参議員になったって、まだ親の思いには、達していないなあと、思い続けるじゃないですか。

 ね、だからね、子どもたちには、目いっぱい膨らませてあげてくださいと。僕は思いますね。

 はい。

 この度は本当にありがとうございました。

アンカー 2
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