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ホーム > オカネのこと > 小野さん、マネロンを語る

​小野さん、

マネロンを語る

​マネロン (マネーロンダリング) とは?

マネーロンダリングされるオカネ

 日本語に訳すと、マネーロンダリングは不正資金洗浄。


 悪事や犯罪など、不正によって手に入れたオカネを、きれいにして普通に使えるようにすること、かな、とワタシらは解釈して、だから庶民の暮らしからは、ほど遠い、裏社会の中だけで行われる、不正行為なんだろう、としか思ってきませんでした。

 でも、そんな思いでいてはダメみたい。

 小野次郎さんという、安全保障の専門家から貴重なお話をうかがえて、ほんとうにそう思いました。

 こども嵐土では、島内に大きなゲームセンターをつくる計画が進んでいて、そこがもしや、マネロンの標的になったら? とワタシらは近ごろ心配になってます。


 日本にもカジノをつくる計画があるようだから、小野さんのマネロン情報を、みんなで知って、そして考えましょうよ。​

先史
IR法成立でカジノでマネーロンダリングが行われないだろうか

マネロン と 脱税 の違いとは

小野次郎さん

 えっと、マネーロンダリングの手口はね、それは色々とあるんだよ。

 

 組織犯罪や反社会勢力が、手に入れたオカネを、裏から表へと移し替える手口としてね。

 例えば美術品を購入したり、危機管理が成っていない銀行を通して、投資をしたり、株を買ったりと。

 でもやっぱり、カジノは手口の規模が大きいんだよね。

 

 ところが日本人の多くが、そのことに気づいていない。

 だいたいそれ以前に、マネロンと、それから脱税の区別すら、ついていないんだよ、非常に多くの日本人は。

 

 一例として、マイアミのピザ屋の話をしてあげよう。その区別を分かりやすく説明できる一例だから。

マイアミのピザ屋で行われたマネロン

 

 

 それはね、マイアミに、人気のピザ屋があったの。

 ピザは売れて、儲かってたの。

 一日の儲けを10万円として計算すると、一年365日で、3650万円の、儲けがあったわけ。

 でね、そんなに儲かっていると、普通の多くの商売人は、なんとか売り上げを隠したくなる。一日の儲けを、10万円じゃなくて、7万円しか儲かってません、とかいって。

 だから一年間では2000万円くらいの所得でしたよ、って税務署に、申告したいでしょう。なるべく納税はおさえたい気持ちになるものよ、普通は。

 

 だけども、所得をごまかしたり隠したりすれば、それはもう脱税になるわけですよ。でしょ。

 

 ところがその、マイアミのピザ屋の店主は、実は裏の仕事がコカインの売人だったの。

 

 ピザもだけど、コカインもすごく売れてたの。

 そこで店主は、従業員が帰った閉店後に、裏のコカインの売り上げを、表の、ピザ屋のレジの中へ、全部入れていったんだ。それで一日10万円の売り上げではなくて、100万円も儲かった、と計上していって、税務署に申告した。

 

 一年間の所得を、10倍に膨らませた形で申告した。
 税務署としては、商売人はたいがい過少に申告しがちなのに、なんだここの店主は、正直に申告して、結果、高額な納税をしているぞ、まさに大真面目なやつだ、と好印象をもった。

 

 分かるかな、これこそがマネーロンダリングなんだ。

 このピザ屋の店主は税金はちゃんと納めていた。法に則って払っていた。

 

 ところが実際のところは、税金を、コストと考えていた。

 必要経費であるコストを、しっかり支払うことで、裏のコカインの儲けを、表の儲けへと、きれいに移し替えてしまっていたんだ。

 ね、脱税とマネロンでは、そもそも扱うおカネの規模が違っているでしょ。桁が。

 これが脱税とマネロンの違いの、その一例。

 

 

 日本の国会議員には、こういう区別をはっきり分からないまま、議論をやっちゃってる人も中にはいるんだよね。

こども嵐土のワタシら

​ あらま~

パナマ文書の記事

 

 

 パナマ文書が、少し前にニュースになったよね、知ってる?

 あのときは、文書に名前があがった大企業や富裕層のことを、脱税してる、ヒドいぞ、って騒ぎになったけど、いや、もちろん、脱税はあったろうし、それはヒドいことだよ。

 でもね、パナマや、ジャージー島や、マカオやジブラルタルや、いわゆるオフショアという、税金のかからない政策が取られている国や、地域は、現実にあるわけだ。

 そのことは、一応は違法ではないわけ。

 

 だからこそ、世界中の組織犯罪の連中は、そんなオフショアにおいても、マネーロンダリングを、結局はやっているんだよ。

 

 脱税も問題だけどね、それ以上にマネロンは問題なの。組織犯罪の資金につながっていくんだから。

 世界中を見渡せば、マネロンという方法によって、中規模な国家の、年間予算ぐらいの大きな金額が、裏から表へと、移し替えられているといわれてる。

 

 うわぁ~スゴい現実が、あるんですねえ。でもお話の内容に、ワタシらの頭は、なかなかついていけなくて~

こども嵐土のワタシら
小野さん、マネロンを語る・後編

 うん。じゃあ、お茶飲んで、休憩を挟んでから、つづきを話してあげよう。

小野さんのマネロン話ブレイクタイム
 
 

マネーロンダリングということばを導入

 

 およそ20年前、このことばを初めて日本に紹介したのは、小野次郎さんだそうだ。

 小野さんが雑誌に連載していた論文があって、マネロンはそこから世に広まったのだと。

 ふむふむ。

こども嵐土のワタシら
マネーロンダリングされるオカネ

ギャンブル依存症のこと

小野次郎さん

 え、ゲームセンターを、こども嵐土につくるんだって? 

 そこで、マネロンが起きるんじゃないかと、あなたたちは心配してんのね。ふむ、ゲーセンか。まあ、僕が話したいのは、カジノに関してなんだけどね。


 そうだな、ゲームセンターについては、おもに依存症の方が心配だろうか。もちろんカジノにも、ギャンブル依存症はつきもので、対策は大いに必要なんだが。


 ほんとに質が悪い病だからね、依存症というのは。
 当事者を、その依存対象から引き離したところで、快復させられるってもんでもなくて、その当事者の、家族や周りのものも巻き込みながら、深みにはまっていく。治療は一生涯つづくし大変だよ。

 依存症の対策は、ちょっとやそっとじゃ出来やしない。

 

 でもね、僕はギャンブル依存症という個人に根ざした問題よりも、もっとずっと危惧するんだよ、マネーロンダリングの方を。組織犯罪にかかわった、莫大なカネが動くからさ。

 

 庶民の目には見えづらいが、しかしそれは、社会や庶民の暮らしを、見えないところで確実に蝕んでいるんだ。


 あなたたちの島のゲームセンターでも、運営の仕方によっては、マネロンが行われないとはいえないよおぉぉ。

 は~、組織犯罪の? どうしよう~対策は…

こども嵐土のワタシら

 あ、いやいや、少々怖がらせちゃったかな。

 カジノだよ、組織的なマネロンが行われるのは。

​ カジノの話をしよう。

IR法によるカジノでの賭け

​カジノで、
マネロンを例えばやってみると

 まず勘違いしないで欲しいんだが、僕はカジノ自体を、組織犯罪だといってはいないよ。

 そこを時たま勘違いする人がいるけど、カジノは組織犯罪ではない。

 

 ただし、構造的に、悪意なしに、組織犯罪に手を貸してしまいもするんだ。カジノはそこが問題なんだよ。

 

 例えばカジノへ、僕があなたたちを誘って、裏で稼いだ1億円のカネを持っていくとするだろ。

 裏で稼ぐってさ、覚醒剤や、違法薬物の売買、それからオレオレみたいな、特殊詐欺でさ。

 はあ~? えっと~

 だから例えばの話。と仮定して、ってことだよ。

 で、入場料を払って入って、まず手持ちの1億円をチップに交換すると、手数料がかかって、9000万円くらいになるんですよ。

 それをあなたたちに僕が手渡して、それぞれで掛けて遊んでもらう。

 儲かったり、損したり、変動はあるだろうけど、遊び終わったら、そのチップは現金に戻してきてもらう。

 そこでもまた500万円くらいの手数料は差し引かれるんだろうけどね。

 そうして、カジノを出たところで、あなたたちは僕にオカネを返してくれる。ああ楽しかった、とか言いながら。

 

 

 ね、だから最初の1億円からは、カジノで遊んだために、オカネは減ってしまってるわけ。わりと高額な手数料と、遊びですった分は引かれて、減額されてはいる。

 しかしその減額分は、僕にとっては必要なコストなのよ。

 そのコストを支払ったことで、裏のオカネを、表で使えるオカネに移せたわけ。マネーロンダリングを、済ませたってことになるんです。

 

 それでね、カジノの経営側にしたら、僕から約1500万円くらいの手数料を取ってるわけじゃないの。

 鳥瞰図的にみると、それは組織犯罪の1億円分のうちの、1500万円を、受け取りましたってことになるんですよ。


 受け取って、つまり僕がマネロンを行うその手助けを、したってことになる。犯罪的なカネを、結果的に山分けした形になってる。

 

 だからさ、カジノはそこがいけない、って僕はいってるの。

 

 もしもカジノで500億、1000億とマネロンされたら、一つの暴力団の年間予算が整ってしまう。

 

 世界の中の、どこのカジノの手数料が安いか、使いやすいか、安全か、などと彼らはいつもチェックしてるんだから。

 

 IRっていう、カジノを含む統合型リゾート施設を、この先つくろう、推進しようとしている人たちは、それで経済がうるおうとか、雇用が生まれると考えてるんだろうけど、果たして本当にそうなるかな。

 

 まず彼らは、マネロンのリスクについては、ほとんど考慮していないでしょう。

 分かってないんだよ、マネロンのことを、国会議員も含めて日本人は。

 

 

 さて、あなたたちは僕の話で、分かったかな。

​ はいぃ。

 衝撃的なお話でした。

 今日うかがったような内容は、誰にも教わったことがなかったし。テレビや新聞でも、見たことがなかったし。う~ん、すごいことなんだあ。

小野次郎さん

 厳密にいうとね…、本当の悪人にならないと、マネロンの真の姿までは、理解しようと思っても、し切れない。実際は。

 そういうもんなんだよ。

こども嵐土のワタシら

 はい。マネロンは、たいへんな事なんだと思いました。

 こども嵐土のゲーセンもだけど、日本のIRは、しっかりみんなで考えて欲しいと、痛感しました。

 小野次郎さん、今日は本当にありがとうございました。

小野次郎さんプロフィール

1953年生まれ 東大法学部卒業後、警察庁入庁。茨城県警、外務省在フランス大使館一等書記官、北海道警察、鹿児島県警本部長、警視庁暴力団対策第一課長等を経て、内閣総理大臣秘書官(小泉内閣)。2005年、自民党公認で衆議院議員初当選(比例南関東ブロック)。2010年自民党を離党、みんなの党に加わり同党公認で参議院議員当選(全国比例)。その後、民進党結成に伴い副代表。2016年まで参議院議員を務める。

現在は一般社団法人・日本企業危機管理協会 会長 等の役職にある。「主権者学」の提唱者。​

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